量子コンピュータを悪用する
サイバー犯罪者の脅威

2023年10月25日公開

量子コンピュータを悪用するサイバー犯罪者の脅威

近年、Googleによる量子コンピュータの計算速度の発表や、カナダのD-Wave Systemsによるクラウドサービスの無償開放、新たな成長戦略としての国産量子コンピュータの初号機の年度内導入等、 量子コンピュータに関するニュースを目にしない日が無いほど頻繁になってきています。
既存の暗号技術を使用した各種アプリケーションは量子コンピュータにより10年以内に容易に解読されるようになるだろうと言われており、10年後の対応では間に合わないと考え重要データ保護のための対応が既に始まっています。

今回は、量子コンピュータに関する情報をご紹介します。

量子コンピュータにより現暗号が破られる危機意識は高い

量子コンピュータとは、物質を構成する原子や電子などの「量子」の持つ性質を利用して情報処理を行うコンピュータで、「スーパーコンピュータを使っても膨大な時間のかかる計算をはるかに短い時間で行うことができるのではないか?」と世界中の政府や産業界から大きな期待が寄せられています。
量子コンピュータは「暗号」「最適化」「機械学習」「シミュレーション」などの高速処理が得意分野で、中でも暗号解読については、従来の常識を覆すようなゲームチェンジャーになる力を秘めています。

【参考URL】
・量子技術の実用化推進ワーキンググループ(第2回)会議資料
https://www8.cao.go.jp/cstp/ryoshigijutsu/jitsuyo_wg/2kai/siryo2-3_2.pdf

量子コンピュータと暗号

国家レベルのサイバー犯罪者は重要な通信に対して現在進行形でレコーディング攻撃を行っています。
多くのユーザで利用されている共有鍵暗号方式で暗号化されたデータの場合、現行のコンピュータを高性能化することで復号することが可能ですが、
もし、量子コンピュータで暗号解読を制することができた場合は、公開鍵方式の暗号ファイルや暗号通信も量子コンピュータを使うことで解読が可能となり、相手の社内に侵入したり、特権IDを奪う為の各種攻撃を実行する必要なく、過去に保存された既存暗号データの解読により、身代金を要求することができてしまいます。

この脅威に対してバイデン政権の対応策は量子コンピューティング・サイバー・セキュリティ準備法であり、すべての米国政府機関に防御策を講じ、耐量子暗号ソリューションをできるだけ早く採用することを義務付けています。
西側諸国の他の政府もすでに同様の取り組みを行っているか、まもなく追随するものと思われます。
欧州連合サイバー・セキュリティ機関(ENISA)は、「ポスト量子暗号: 脅威の予測 と未来の準備」と呼ばれるレポートを発表しました。
このレポートでは、欧州が量子技術の台頭を見越して今すぐ対策を講じる必要がある理由について概説しています。

【参考URL】
・Post-Quantum Cryptography: Anticipating Threats and Preparing the Future
https://www.enisa.europa.eu/news/enisa-news/post-quantum-cryptography-anticipating-threats-and-preparing-the-future

量子コンピュータによる解読対策

ポスト量子暗号とは、量子コンピュータに対して安全で既存のコンピュータでも実行できる新たなアルゴリズムに対応した暗号のことです。
まずは解読されると問題となる情報を整理し、優先順位の高い情報から量子コンピュータ対策として、ポスト量子暗号へ対応して下さい。ご利用されている暗号通信が量子コンピュータ対策できない場合でも、Tectia Quantum Safe Edition SSH Server/Clientを利用することでこの攻撃に対応することができます。

まとめ


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